壷阪寺 | 眼病封じの観音様とインド渡来の大石仏(南法華寺)

満開の桜と壷阪寺の仁王門、西國六番観音霊場の石標 高取町

満開の桜と壷阪寺の仁王門、西國六番観音霊場の石標

奈良県の中央、高取町にある壷阪寺(つぼさかでら)は、壷阪山の中腹に伽藍が広がる西国三十三所観音霊場の第六番札所です。正式には「壷阪山 南法華寺(みなみほっけじ)」といい、古くから「眼病封じの寺」「目の観音様」として全国から篤い信仰を集めてきました。

山あいの境内は斜面に沿ってお堂や塔が建ち並び、春にはそのあいだを桜が埋めつくします。私がうかがったのも桜が満開の時期で、朱色の伽藍と淡いピンクの花が重なりあう景色は、ため息が出るほどきれいでした。

壷阪寺の礼堂と丘の上の大観音石像、三重塔と桜

弁基上人の開山と、眼病封じの信仰

境内の案内板によると、壷阪寺は大宝三年(西暦703年)、弁基上人によって開かれたと伝わる霊山です。ご本尊は十一面千手観音さま。「目の観音様」として広く信仰され、眼病に霊験あらたかな観音信仰の一大道場とされてきました。

お名前を書いた木札を観音さまに納めてご縁を結び、眼病封じのご朱印を授かって自宅に持ち帰る——そんなお参りの作法も案内板にていねいに記されていました。目の不自由な人びとにとっての聖地として、昔から全国各地から訪れる人が絶えないのだそうです。

壷阪寺仁王門の迫力ある仁王像(阿形)

階段をのぼった先の仁王門には、迫力のある仁王さまが左右ににらみを利かせています。門の案内板には、建暦二年(西暦1212年)の建立で、貞慶(解脱上人)が建立に係わったと伝わること、室町期や安土桃山期、昭和に大修理を重ね、平成十年の台風で屋根が半壊したのを機に開創千三百年を期して現在地へ移して修理したことが書かれていました。仁王さまは一丈一尺(約3.3メートル)の大きさで、背後からの支えなしに立っているそうです。

赤い前掛けをした壷阪寺の千手観音石像と桜

壷阪寺には、説話「壷坂霊験記」のお里・沢市の物語でも知られる、目にまつわる深い物語が息づいています。境内のあちこちに観音さまや千手観音の石像がまつられ、赤い前掛けが掛けられていました。

壷阪寺に行った感想

とにかく、桜と朱塗りの建物の取り合わせが見事でした。平安時代の大日如来をおまつりする多宝塔は、開創千三百年を記念して平成十四年(2002年)に落慶したもので、まんまるの白い相輪部と朱色がまぶしく、桜の枝ごしに見上げると絵のようでした。

朱塗りの壷阪寺本堂の屋根と石灯籠、満開の桜

桜の枝ごしに見上げる壷阪寺の多宝塔と三重塔

いっぽうで、古色を帯びた三重塔や本堂(礼堂)は、長い時間を経た木肌の落ち着きがあり、鮮やかな多宝塔とのコントラストが印象的です。斜面に建つお寺なので、お堂の軒先からは桜の海の向こうに高取の山並みが見渡せて、吊り灯籠のシルエットごしに差し込む光がとてもきれいでした。

青空にそびえる壷阪寺の古色を帯びた三重塔

お堂の軒に吊るされた灯籠と桜のシルエット、差し込む光

壷阪寺の鐘と石灯籠の列、桜ごしに見渡す高取の山並み

壷阪寺の基本情報

観光地名壷阪寺(南法華寺)
住所奈良県高市郡高取町壷阪3番地(〒635-0102)
アクセス(電車・バス)近鉄吉野線「壷阪山駅」から奈良交通バス「壷阪寺前」下車すぐ(土日祝運行)。※平日はバス路線が変わっているため、公式サイトでご確認ください
アクセス(車)南阪奈道路「葛城IC」から約30分/京奈和自動車道「橿原北IC」から約35分
駐車場あり(タイムズ管理・第一33台/第二53台)。普通車は通常期30分300円・一日最大1,500円
拝観料(入山料)通常期 大人800円/小人(高校生以下)200円/幼児(5歳以下)無料(桜シーズンは別料金)
拝観時間8:30〜17:00(年中無休)
電話0744-52-2016

※拝観料・時間・バスの運行は変わることがあります。お出かけ前に公式サイトか電話でご確認ください。

インドから渡ってきた大きな石仏

壷阪寺のもうひとつの見どころが、境内に点在する大石造美術です。案内板によると、壷阪寺は日本とインドが協同でさまざまな事業を行っており、インドで製作された大観音石像(全高20メートル)や大涅槃石像(全長50メートル)、大観音図石造レリーフ(全長8メートル)などが安置されています。

桜に囲まれた壷阪寺の大釈迦如来石像と石仏群

白い石肌の大きな仏さまが、山の斜面や桜の木のあいだからゆったりと現れる様子は、ほかのお寺ではなかなか見られない壷阪寺ならではの眺めです。大きな仏さまの足もとには、文殊菩薩や普賢菩薩、四天王などの石像がずらりと並び、桜とあわさって荘厳な一画をつくっていました。

大きな石仏の足もとに並ぶ文殊菩薩や普賢菩薩などの石像と三重塔

春の特別拝観「大雛曼荼羅」

私がおとずれたのは三月の終わりで、ちょうど本堂(礼堂)では春の特別拝観「大雛曼荼羅(だいひなまんだら)」が行われていました。真っ赤なひな壇を埋めつくすおびただしい数のおひなさまは圧巻で、お堂いっぱいに広がる光景に思わず声が出てしまいました。

壷阪寺の礼堂を埋めつくす大雛曼荼羅のおひなさま

赤いひな壇に並ぶ大雛曼荼羅のおひなさまのアップ

高取町では町家の軒先におひなさまを飾る「町家の雛めぐり」が春に開かれ、壷阪寺の大雛曼荼羅もそのひとつです。開催時期は年によって変わるので、春にお参りを考えている方は公式サイトで確認してみてくださいね。眼病封じの観音さま、インド渡来の大石仏、そして満開の桜——見どころがぎゅっと詰まった、一度は訪れてほしいお寺でした。

※この記事の写真は2018年3月に撮影したものです。現在の様子とは異なる場合があります。

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