すっかり秋らしくなってきました!
2024年10月の考古学サークルならは、宇陀市の榛原を巡りました!
スタートは近鉄榛原駅から。ここからバスに乗って、宇陀市総合体育館の前からのスタートです。
この日のテーマは磚積石室(せんづみせきしつ)。榛原石という、板みたいにきれいに割れる石をレンガのように積み上げて作った石室で、桜井市から宇陀地方にかけての限られた場所にしかない珍しいものだそうです。今回はその磚積石室を一日中見て回る回になりました!
榛原石はこのあたりで採れる流紋岩質の凝結凝灰岩で、板みたいに薄く割れるのが特徴です。古墳時代の後半には箱式石棺の石材として大和のあちこちで使われたそうで、その産地のまんなかで、板石をレンガのように積む石室が生まれた、というわけですね。
まず向かったのは、住宅街の中にあるひのき坂古墳公園です。

芝生の真ん中にこんもりとした墳丘があります。これが奥ノ芝1号墳。もともとは尾根の上にあった古墳だそうですが、宅地造成で墳丘がなくなってしまい、石室だけをこの公園に移築復元したものだそうです。7世紀の中頃の古墳と言われています。

大きな一枚岩を天井にのせた開口部。鉄柵がついていますが、この日は中を見せてもらうことができました。


中に入ると、榛原石がびっしり積み上がった壁が奥まで続いています。石室は全長6.3mくらい、玄室が長さ2.6m・幅1.2m・高さ1.45mくらいの両袖式だそうです。
公園のど真ん中に古墳の石室があって、近所の人の通り道になってるのがちょっとおもしろいですよね。
次は尾根を南に下って、奥ノ芝2号墳へ向かいます!


こちらは奈良県指定史跡です。1971年に発掘調査が行われて、直径約10mの円墳で、南に開口する磚積石室だということがわかったそうです。
石室は全長7m、玄室が長さ3m・幅1.9m・高さ1.9m、羨道が長さ4m・幅1.37m・高さ1.55m。石室の中には組合わせ式の箱形石棺や木棺が安置されていて、須恵器・土師器・金環・鉄鏃・鉄釘が出土しているそうです。築造は7世紀前半で、北にある1号墳よりもやや早いと考えられているとのこと。


玄室に入ると、正面に石棺が据えられたまま残っていました。壁の石が上にいくほど内側にせり出しているのがよくわかります。薄い石を少しずつ持ち送って、天井をせばめていく積み方だそうです。
説明板によると、昔このあたりの尾根には4基の古墳からなる奥ノ芝古墳群と、福地城遺跡(古墳時代の住居跡と中世の城跡)があったとのこと。今はふつうの住宅地の裏山なんですが、足元に時代が何層も重なってるんですね。
そのまま初瀬街道の町並みへ!

深い庇の町家がずらっと並んでいて、通りの雰囲気がそのまま残っています。

途中で寄ったのが、宇陀市指定文化財の旧旅籠「あぶらや」。開館は午前10時〜午後4時で、月曜・火曜がお休みだそうです。
古墳を見たあとに街道の町家を歩くと、同じ土地の時間が一気に千年ぶん進む感じがしますね。

街道を進んで宇陀川にかかる朱塗りの橋を渡ると、墨坂神社です。橋の向こうに朱の鳥居が並んでいて、ここだけ空気が変わります。
その後法清寺の横から宇陀高等学校の中にある丹切古墳群へ向かいます!


落ち葉の積もった道をどんどん登っていくと、尾根のあちこちに石室の口がぽっかり開いてました。


いちばん「おおっ」となったのが、玄室に細長い石棺が据えられたまま残っている一基。壁はやっぱり榛原石の磚積で、薄い石が暗がりの中でも整然と重なっているのがわかります。

この尾根には全部で60基ほどの古墳があったと言われています。5世紀の終わりごろから7世紀の半ばにかけて作られ続けたそうで、箱形石棺、木棺の直葬、横穴式石室、磚積というふうに埋葬のかたちが移り変わっていくのを、ひとつの尾根で追えるらしいです。
最後は西峠古墳へ!


井之谷遺跡群の西端にあった、一辺8m・高さ1.5mの方墳で、まわりには溝(周溝)がめぐっていたそうです。埋葬施設はこれまた榛原石を煉瓦のように割って積み上げた磚積石室。
石室は全長4.33〜4.39m、玄室が長さ2.03〜2.09m・幅1.0〜1.05m・高さ1.0m、羨道が長さ2.3m・幅0.83〜0.87mで、入口には短い外護列石があったそうです。飛鳥時代(7世紀中葉)の役人のお墓ではないかと言われています。
現状のまま保存するのが難しかったため、石室を解体してこの場所に移築復元されたものだそうです。

井之谷遺跡群の発掘調査は1995年から1997年にかけて行われ、2か所の尾根から6〜7世紀の古墳が2基と、13〜16世紀の中世墓が36基以上見つかっていて、縄文時代から中世までの土器や石器も出ているそうです。ずっと人の暮らしの舞台だった場所なんですね。
石室に入ると、外の明るさから急に空気が変わります。低い天井と、そろった石の目地。1400年前の仕事がそのまま手の届くところにあるのが、磚積石室のおもしろさやなと思いました!
今回は約5kmくらいの距離を歩き、奥ノ芝1号墳・2号墳、初瀬街道の町並み、墨坂神社、丹切古墳群、西峠古墳を回りました。同じ榛原石を使っていても、積み方や石室の大きさが少しずつ違うのを見比べられて、なかなか濃い一日でした!

























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