
奈良県天理市の柳本町、山の辺の道のほど近くに「釜口山 長岳寺(ちょうがくじ)」はあります。高野山真言宗のお寺で、花と文化財の寺として親しまれてきました。
私が訪れたのは四月の下旬。大門をくぐると、両側を平戸つつじの生垣にはさまれた玉砂利の参道が本堂へとまっすぐ続いていて、ちょうど濃いピンクと白の花が満開でした。花のトンネルを歩いていくような、はなやかな参道です。
長岳寺について
長岳寺は、約一万二千坪という広い境内をもつお寺です。春の桜や平戸つつじ、初夏のかきつばたやあじさい、秋の紅葉、冬の梅や藪椿と、一年を通して四季折々の花が楽しめることから「花の寺」として知られ、関西花の寺二十五霊場の第十九番、大和十三仏霊場の第四番にもなっています。

大門には「関西花の寺 第十九番 長岳寺」「釜口山 長岳寺」の札が掛かっていました。この日は大門から先の参道が、まさに花ざかり。訪れる人の目をいちばん楽しませてくれる場所だと思います。
由緒・歴史
現地の案内板によると、長岳寺は天長元年(824年)、淳和天皇の勅願により弘法大師(空海)が、大和神社の神宮寺として創建したと伝えられています。約千二百年の歴史をもつお寺です。
最盛期には塔頭が四十八坊、僧兵が三百余りもいた壮大な寺院だったそうですが、たび重なる戦乱で多くを失いました。それでも慶長七年(1602年)には徳川家康から朱印地を寄せられ、法灯は今日まで受け継がれています。

参道の石段を上がった先に立つのが、国の重要文化財・鐘楼門です。案内板には「約千年前の建立で、日本最古の鐘楼門」と記されていました。上層にかつて鐘を吊るしていた、楼門と鐘楼をかねた珍しいお堂です。

本堂のご本尊は、案内板によると阿弥陀如来像と、両わきにおられる観音菩薩像・勢至菩薩像の阿弥陀三尊です。阿弥陀如来像は仁平元年(1151年)の造像で、玉眼(水晶を入れた目)を用いた最古の尊像とされ、観音・勢至の両菩薩も片足を踏み下げた珍しいお姿。いずれも国の重要文化財です。
長岳寺に行った感想
いちばん心に残ったのは、やはり大門から続く平戸つつじの参道でした。背の高い生垣いっぱいに花が咲き、歩いているあいだずっと花に包まれているようで、思わず何度も足を止めてしまいました。

境内の奥には、放生池を中心とした浄土式庭園が広がります。訪れたときは池のまわりにかきつばたが咲きはじめ、水面に青もみじが映り込んで、とても静かでした。広い境内にゆったりと時間が流れていて、花の寺という呼び名がよく似合うお寺だと感じました。門のそばでは、猫がのんびり日なたぼっこをしていたのも印象的でした。

こちらは大和十三仏霊場のお堂にまつられた、金色に輝く仏さま。扉が開かれていて、静かに手を合わせることができました。
長岳寺の基本情報
| 観光地名 | 釜口山 長岳寺 |
| 住所 | 奈良県天理市柳本町508 |
| アクセス(電車) | JR桜井線「柳本駅」から徒歩約20分 |
| アクセス(車) | 西名阪自動車道「天理IC」から約6km(約15分) |
| 駐車場 | 無料駐車場あり |
| 拝観料 | 大人400円/大学・高校生350円/中学生300円/小学生250円(小学生未満は無料) |
| 拝観時間 | 9:00〜17:00(年中無休) |
| 電話 | 0743-66-1051 |
長岳寺の見どころ
旧地蔵院と襖絵
受付をかねた旧地蔵院は、寛永七年(1630年)ごろの建物で、こちらも国の重要文化財です。度重なる戦乱で多くの塔頭が失われるなか、唯一残った塔頭だと案内板にありました。屋根に杉皮を用いた「大和葺(やまとぶき)」という珍しい造りだそうです。

書院の座敷には、鶴や老松が描かれた襖絵がぐるりとめぐらされていて、静かな広間に見入ってしまいました。
大師堂と鐘

弘法大師をおまつりする大師堂。「弘法大師」の額が掛かり、「南無大師遍照金剛」ののぼりが立っていました。

境内には「一願成就の鐘」もありました。ひとつだけ願いを込めて撞かせていただける鐘だそうです。
石仏

境内の山手には、石に彫られた仏さまもおられました。案内板によると、鎌倉時代の石仏などが伝わっているとのことです。
大地獄絵
長岳寺でもうひとつ有名なのが、狩野山楽が描いたと伝わる「大地獄絵」です。公式サイトによると、ふだんは本堂でレプリカが公開されていて、本物は毎年10月下旬から11月末まで特別開帳されるとのこと。期間中の土日には住職さんによる絵解き説法もあるそうです。私が訪れたのは春でしたので、こちらはまた秋に拝見できたらと思っています。
※この記事の写真は2021年4月に撮影したものです。現在の様子とは異なる場合があります。



















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